日本語学会2015年度秋季大会で発表しました

2015年11月1日(日)に山口県立図書館レクチャールームで行われた日本語学会2015年度秋季大会のワークショップ「地方議会会議録から見える日本語のバリエーション」において発表しました。

高丸圭一「地方議会会議録に見られるオノマトペ」

【要旨】
 まず,自治体のウェブサイトに公開されている地方議会会議録のうち425自治体分(約81億文字)を収集して構築した地方議会会議録コーパスと,全文検索機能・マップ機能・クロス表機能をもつ横断検索システム(以下「横断検索」という) を紹介した。
 この地方議会会議録コーパスのうち2010年度の会議録(約3億語)を対象として,『日本語オノマトペ辞典』(小野正弘編 2007 小学館)の意味分類別索引に掲載された語の抽出を試みた。比較的丁寧な話し言葉である議会発言において,オノマトペは豊富に使用されていることを指摘した。会議録コーパスを活用したオノマトペ分析の事例として,コロケーションと出現地域の偏りについて述べた。語義の多いオノマトペ「ごろごろ」を含む発言文を係り受け解析し,「ガ格」および「係り先動詞」を抽出し,幾つかのコロケーションが特定の語義に関連することを示した。六地方分類による出現確率の集計により,本発表の対象オノマトペの出現確率は西日本で高いことを指摘した。出現地域に偏りのあるオノマトペの具体例として,「ぴちっ」(中国・四国地方),「かちっ」(近畿地方)が方言形の発言で使用されていること,「ぴしゃっ」(九州地方)が方言的な語義で使用されていることを述べた。
 表層形が変化したオノマトペや方言オノマトペを対象に加えて,さらに分析を進める予定である。
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